『ティファニーで朝食を』

録画したまま放置していたのを先日観てみた。華奢な体に黒のワンピースをまとったオードリー・ヘプバーンの姿だけは知っていて、自由奔放な彼女に振り回される男の話なんだろうと思っていたが実際そうであった。

監督がブレイク・エドワーズだからなあ、それにしてもこの人の東洋人キャラの使いかたってこの頃から変わってないんだなあ、というのが正直な感想で、ヘプバーン演じるホリー嬢についてはキュートだなくらいだったのだが、カポーティがこんな話書くかしらとも思ったのだった。

しかし彼の作品は高校生の頃『遠い声、遠い部屋』を読んだきりである。不勉強を反省しつつ図書館で原作を借りてみたらやはり別物であった。そりゃそうか。

納得したところで思い出したのだが、彼の『草の竪琴』も確か映画化されていて、主人公をエドワード・ファーロングが演じていた。これは地味ながらいい出来であった。

借りてきた本に収められた他の短編も読んでみたけれど、感情移入の手前でやんわり拒絶されるというか、届きそうで届かないというか、独特の距離感を感じる世界だな。こういうのは好きだ。

今回借りたのは1960年の翻訳なので、表現がどことなく古くさいのは否めない。村上春樹の新訳も出ているというから読み比べてみたいと思う。こっちも何となく予想はつく気はするけれど。