ノートパソコンに「スメシ レイゾウ」と

書かれた付箋が貼ってあった。そうそう、酢飯を冷蔵庫に入れても大丈夫か調べようとしていたのだ。仕事から帰ってちゃっちゃとまぜ寿司作ったら楽だし早いなと思ってさ。

結局「酢飯は冷蔵すると固くなる」「冷やご飯でまぜ寿司作れる」とわかったので、その日の晩飯はハムとアスパラと冷や飯をレモン汁と酢で和えてライスサラダ風にした。カイワレを散らして風味づけにごま油をたらしたら結構美味かった。プチトマトを温存せずにトッピングした方が彩りはもっとよかったな。

家の数か所にメモや付箋を用意している。冷蔵庫に貼ったチラシの裏は次回の買い物メモにする。リビングと寝室に置いた付箋はToDoリストのためである。

いろいろな事が頭にぽっと浮かんではぱっと消える。本当に必要な事はまた思い出すだろうと楽観していた時期はとっくに過ぎた。何か重要な事を考えていたはずなのに、とじれったい気持ちになるのは日常茶飯事である。メモに残せるのなんかほんの一握りだ。

でもそういうのって妙な場所でふと思い出したりするんだよな。風呂場とかトイレとかATMの行列とか。でもってすぐまた忘れる。

思い出す方法として、どこで何をしていた時だったかさかのぼって考えるというのがある。洗濯物をしまおうとしていた、あるいは本のあのページを読んでいた、など、同じ動作を繰り返してみる。思い出せる確率は二割程度だろうか。昔はもう少しよかった気もするのだが、思い出せない。

記憶の底深く沈んでしまった膨大な過去のひらめきは、その後どうなるんだろう。混じり合って変化を起こし、また新たにぽっかりと現れているのかもしれない。できる事なら今度こそ忘れたくないものである。