食後にちょっと横になるつもりで

ベッドへ行くと我が物顔の猫がいる。お邪魔しますよと断ってから隣に寝ころぶ。顔をくっつけてくるので鼻の上あたりを掻いてやると、器用に顔の向きを変えながらあちこち撫でさせる。こいつが人間ならおしぼりで首の後ろまで拭くタイプだろう。

「このげろ吐き野郎」と先日の事を蒸し返してやるが、当然気にする風でもない。もう一匹はいつもの通り、ベッドカバーの奥深くで生暖かい塊と化している。

多い時は六匹いた猫が段々といなくなり、今は彼ら二匹である。

他の猫たちがそれぞれ個性的だった事もあるが、あまり目立たない、というか徹底して懐かない二匹だった。引き取られて十四年、ようやく甘えるようになったのは、先住猫たちが世を去ってからだ。それでもまだ抱き上げようとすると逃げる。二匹は兄妹で、保護されるまで半年以上野良生活をしていたから、人に対する警戒感がどうしても消えないのかもしれない。

他の猫よりも彼らが先に死んでいたら、最後まで懐かずじまいだったろうし、お調子者でおしゃべりな一面も知らないままだったろう。運命の不思議というと大げさだけど、結果としてそういう事になっている。