夜の餌を食べた後の猫が

やたらと鳴きながら部屋中歩き回っていた。こちらはドラマの録画を観ながらの晩酌中である。邪魔すんじゃねえとカリカリを皿に追加してやったらとりあえず大人しくなった。食器を洗って歯を磨いて水回りを掃除して、さあ寝るべえかと寝室の明りをつけたら。

ベッドの上で吐いていた。

だったらちゃんとそう言えよ!理不尽に怒りながら保護カバーを剥がすと、時すでに遅し、掛布団とシーツにまで染みている。厚手の布というだけで防水性はないから当然だ。

げろを始末して掛け布団カバーを外し、布団の染みを手洗いして浴室に干し、シーツを交換。布団の代りのタオルケットを出す。全て終えた時はもう真夜中を過ぎていた。それまで傍の椅子にいた猫がいそいそとベッドへ上がって来て、盛大に喉を鳴らし始めた。

今日は朝一番で布団カバーを洗濯したが、外はあいにくの大雨である。夜までに乾いてくれれば御の字といったところか。シーツと保護カバーは明日洗うしかなさそうだ。両方とも洗い替え用があったのは不幸中の幸いである。

昨夜の轍を踏むまいと、保護カバーの下にペットシーツを敷いた。掛布団は今後、毎朝畳んでクローゼットにしまう事にする。ああめんどくせえ。

前回ベッドに吐かれたのは数カ月も前だから、そんなに頻繁な事ではない。わかってはいるが、一度やられると今までの平穏な毎日が全てチャラになってしまう。心が受けたマイナスのダメージというのはそれだけ影響が大きいんだな。

「ちょっとした事で落ち込んで」とは言うけれど、そのちょっとした事が意外と侮れないのである。小さな棘だって刺さったら結構痛いもんね。