駅の改札を出た時、

ハンカチを忘れたのに気がついた。職場への途中にあるコンビニで(ポイントが使えるから)「ハーフハンカチ」というタオル地のを買った。なんじゃらほいと思いつつ更衣室でタグを取って見たら、何のことはない半分サイズなのである。だからハーフなのか。

しょぼいなと思ったけど、確かに宣伝文句の通り「ポケットの中でかさばらない」。本当はタオル地じゃないのが欲しかったのだが、他に売ってなかったしまあいいか。肌触りも悪くないし。

だけどハーフサイズで税込み290円というのは高いのだろうか安いのだろうか。素材とか国産かどうかとかでも違うんだろうけど。

考えてみると、ハンカチを自分で買った事がないなあ。遠い昔に何かのお返しとか記念品とかでもらったものの、存在すら忘れていたのが時々引き出しの奥から出てくる。それを好みとは関係なく使っている。ピエールバルマンとかヴァレンティーノとかロゴが入ってるやつ。

子供の頃はどうだったろう。ガーゼを縁取りした母の手作りハンカチがおぼろげな記憶にある。学校用は名前が書いてあって、スカートの前あたりに安全ピンで留めていたような覚えがある。

ただ手を拭くというだけでなく、朝の会の持ち物検査とか、遠足の忘れ物リストとか、小学校生活においては常にチェックされる対象であり、「いい児童」と評価される一つの基準でもあった。

そういった面もあるものの、明るい糸の縁取りとか、ワンポイントで刺繍された花とか小鳥とか、やはりノスタルジックな記憶と結びつくハンカチ。いや「ハンカチ」ではなく「ハンケチ」と呼ばれるほうが、あの柔らかな手触りにはふさわしいかもしれない。