寝る前にパソコンやスマホの画面を

見ると寝つきが悪くなるという。なら逆も然り、っていうか使えるんじゃねえかと、朝起きた時に携帯の画面を見る事にした。これでしゃっきり目が覚めるだろう。

眠い目をこすりつつ朝一番のニュースをチェックする。最初はよかったが、日が経つにつれてニュースをずっと見続けるようになってしまった。画面を延々とスクロールしていると、いつの間にか時間が過ぎている。朝からだらしない。よろしくない。

なら起き抜けに読書はどうだろう。これもきっちり目が覚めたが、たまたま枕元に用意したのが読みかけのミステリだったため、結局犯人がわかるまでベッドから出られなかった。アイデアとしては悪くなかったが、やはり目覚ましアラームに素直に従うのが一番のようだ。

それとは反対に、眠るための読書というものがある。これはもうずっと昔からの習慣だ。夢の世界へゆるりと入り込めるよう、心休まる穏やかな内容のものを選ぶ。枕元に用意するのは決まっていて、竹西寛子の『古典日記』、日崎徳衛の『出家遁世』、青木正児の『華国風味』、基本この三冊を順繰りに読み返している。

源氏物語古今和歌集の世界に浸り、京郊外の侘び住まいを思い、中国四千年の食文化を味わって、満足して明かりを消す。特に最後のは難しい漢字がずらりと並ぶので、数ページも進まずに瞼が重くなる事請け合いである。

最近は定番に混じって、本棚整理で処分する予定の本を読んだりしている。昨夜は久々に『隅の老人』を手に取った。やっぱり面白いから捨てるのやめようかな、と少し迷ったりして。