千駄ヶ谷駅から国立能楽堂までの道は

上を通る首都高が庇のようになって、雨や強い日差しを避けるのに丁度いい。

線路の向うに新宿御苑の木々が見える。今度帰りに寄ってみようかな。道路の反対側は外苑方面である。こちらは再開発の渦中にある。もう高層ビルはいらんよ。

さて予習バッチリで挑んだ『弱法師』である。シテの謡は嫋々と、内捨てられた悲哀の中にも品の良さが感じられてとてもよかった。対して囃子がテンポよく展開するのは、賑わう天王寺の境内を表していたのかもしれない。

盲目の青年の心に、かつて見た風景がありありとよみがえる喜び。気持ちの高揚が最高潮に達した時、参詣の群衆にもまれて突き倒されてしまう現実の残酷さ。

あれでハッピーエンドじゃなかったらあんまり救いがなさすぎるよなあ。お父さんが過ちに気付いてよかったよ。

今回は一度も寝ないという快挙を成し遂げた。事前の予習のおかげも勿論だが、ブラックブラックガムの功績によるところは大きい。二枚重ねで噛むと強烈なミントが鼻どころか目まで突き抜ける勢いであった。次回もお世話になろうと思う。

いさ珈琲のキッチンカーは残念ながら来ていなかった。でも帰りにちょっと気になってた地元の喫茶店で美味しいコーヒーを飲んだ。満足の一日であった。