国立能楽堂の公演をみたあと

ふと思いついて、いつもの千駄ヶ谷駅ではなく代々木駅から帰る事にした。

散歩がてらのつもりだったが意外と近い。駅に近づくにつれて飲食店が増えて賑やかである。そういえば代々木には昔、「チョコレートシティ」というライブハウスがあってよく通った。どの辺だったか思い出せるかと駅周辺を見渡したが、初めて来た場所のようにまったく見当がつかなかった。

中途半端な懐かしさにぼんやりしていたせいか、乗換駅の新宿でおりそびれてしまう。せっかくだからこのまま高円寺に行ってみよう。駅前高架下にあった古本屋や、むげん堂をのぞいてみようか。

こちらも久々の高円寺は、お目当ての高架下が全く様変わりしていた。古本屋は閉店していたし、むげん堂もない。

がっかりしながらもあちこち歩き回ってみる。古着屋ばっかりである。同じ中古でもレコードやCDの店は見当たらない。途中でむげん堂の新店舗を見つけたが、何となく入る気にならなかった。

そういえば「20000V」ってライブハウスがあったっけ。一度だけ行った事がある。何のライブだっけ、ゆらゆら帝国か、痛郎だったか。

時代は変わったし、何より自分自身が変わったのだろう。物寂しいけれど仕方がない。

思い出が思い出でしかない事を確かめたような、小さな旅だった。