週末の夜は時間を持て余して

ついだらだらと飲んでしまう。

昨夜は、このままじゃいけない!と某薬のCMのように決意して、早めの夕飯の後、録画しておいたバイロイト音楽祭をみることにした。プログラムの最初は大学の合唱団時代に歌ったブラームスの『ドイツ・レクイエム』で、聴きながらところどころ一緒に歌えるのに我ながら驚いた。四半世紀以上昔でも結構覚えているものだ。当時の合唱スコアを探したけれど見つからなかった。実家に置いて来たのかな。

次のプログラムはモーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』。オペラは長いから別の日にしようかと思いつつ何となく止めないでいたら、結局最後までいってしまった。

フィガロの結婚』『魔的』は、子供の頃何度かテレビでみたことがあったけれど、この作品は初めてだ。怒涛の如く繰り出される二重唱三重唱に圧巻のアリアと、音の洪水に溺れそうだった。どこをとっても美しいとしか言いようのない曲ばかりで、やっぱりこの人どっかおかしいわ、と半ば茫然となりながら思いました。

年上の友人にそそのかされた二人の若者が、恋人の貞節を試すためにひと芝居打った結果、まんまと彼女たちに心変わりされてしまうという筋書きだけ読めば、今の価値観からすれば言語道断の炎上間違いなしだろう。

若者をそそのかす年上の友人(初老の哲学者)の意図は、「女はしょせんそんなもの、広い心で愛しなさい」という教訓を与える事だったのかもしれない。けれど恋の駆け引きに夢中になる若者たちを見る彼の目にはどことなく影があって、まるでかつて自分が身を焦がした恋を切なく思い返しているようにも見えた。

すったもんだの挙句ようやく元の鞘に収まった幕切れ、最後まで葛藤を続けた姉娘がためらいもなく恋人の胸に飛び込むのに対して、奔放な妹娘とその恋人が互いの心を計るようにぎこちなく立ち尽くしているのも印象に残った。

白一色の背景(左右に白い扉がひとつづつあるだけ)にモノトーンの衣装の登場人物が映えるシンプルな舞台も美しかった。

しかし久々に興奮したせいか、その後全然寝付けなくて困りました。眠い。