わたしが向かうのは巣鴨の地蔵通り商店街である。
百貨店は人混みがいやだしお値段も高い。無印もいいんだけどモノトーンの気分じゃない時もあるし。
巣鴨までは電車を使うが歩けない距離でもない。長めの散歩を楽しむにも丁度いい目的地だ。近くにある染井霊園を桜の時期にぶらぶらするのもいい感じである。
正月に柄にもなく花など飾ったら、きちんとした花瓶が欲しくなった。連休最終日でもあるし、散歩がてら探しに行くことにした。
早く来すぎたせいでまだ半分ほどシャッターの閉まっている通りは、観光客の姿もあまりなくて閑散としていた。
お婆さんの原宿として名高いこの商店街も、最近はブランド買取店が進出したりして、少しづつ印象がかわりつつある。若い人向けのおしゃれなスイーツの店やタリーズコーヒーなんかと並んで、昔ながらの仏具や例の赤パンツが売られているのはなかなかシュールだ。
いつものぞく雑貨店で首尾よく花瓶を手に入れた。値段も予算の半分ほどだった。これなら仮に失敗したとしても痛手は少なくてすむだろう。わたしは自分のセンスを全く信用していないから、こういう買い物は常におっかなびっくりである。
戻って花瓶を取り換えてみると、まあ悪くない感じだった。活け直した花はもうすっかりしおれていたけれど。