遠方の父から同居の話が出たのは

確か夏頃だったと思う。元気なうちに実家の家じまいをして、わたしのマンションに引っ越したいというのだ。もしもの時すぐ駆けつけられないという気がかりがあったから、父から言い出してくれたのはありがたかった。

幸いというか、十年程前に離婚してずっと一人暮らしのわたしである。空き部屋はあるから問題ない。具体的な計画はまだこれからだが、受け入れ準備だけでもしておこうと思ったものの、実際に始めてみるとこれが大変だ。

父が身一つで来るわけではない。実家で使っていた家具もある程度持って来たいだろう。そうなると、こちらも色々と処分してスペースを確保しなくてはならない。

この際断捨離でわたし自身もさっぱりしようと、まずは読まなくなった本やCDなどを選別。これはまあ何とかいけそうだが、あらためて部屋を見渡せば、何と統一感のない事か。

その時その時に必要な家具を買いそろえたつもりだったが、どうにも間に合わせの印象がぬぐえない。実際間に合わせだったのだろう。「こんな感じの部屋にしたい」というイメージを、今までもったことがなかったのに気がついて愕然とした。

家にいても何となくくつろげない。長年感じていた事の原因がここにあったとは。

同居で始まる新しい生活を、どういう空間で迎えたいか。あれこれと頭を悩ませている毎日だ。

なるべくすっきりとした部屋にしたいなあ。本当に必要なものって何だろうと考えると、案外少ないものですね。